美容アンチエイジング業界コラム

美容医療・アンチエイジングの市場性

自費診療部門を開設するクリニックが増える

美容医療・アンチエイジングの分野に、保険診療から転身あるいは一部の診療を導入しようという動きは今年さらに加速する。つまり他科からの医師が自費診療をめざしその参入ラッシュは高まると当会はみる。

山本クリニック院長・山本 豊医師は「保険診療では医療費は国が払ってくれるという認識のもと、医師も経営をあまり真剣に考えず医療行為ができた。算術はなくても経営は充分成り立つ仕組みでした。しかし医療費削減を至上命題に掲げる国はもはや、診療報酬を下げざるを得なくなった。医療機関は国が定める報酬に従い、減収を余儀なくされる。結果、コスト削減、人件費のカットが行われ医療の質までも影響が及ぶ局面さえある。この現状を打破できるのは言うまでもなく、混合診療ではない、自費診療の導入である」と言う。多少長いコメントの引用であるが、当会が指し示す予測に対する根拠の一つではないだろうか?

美容整形の市場順位は、一位がアメリカ、2位がメキシコ、3位ブラジルと続き、日本は4番目につける。最新のデータでこの順位に変動はあるものの、日本マーケットが閉そく感を持ち続ける中、美容医療はまだまだ潜在需要が見込めるはずだ。

とはいえ、景気低迷そして震災のダブルパンチが11年日本を叩きのめしている。美容医療にかける出費もまた抑える傾向にある。そこでクリニックでは治療費をさげる。自ずと一人当たりの単価はさがり、勢い治療メニューを増やさざるを得ない。そこには医師の勉強とそして投資がかかる。だが経営上ますます無駄な投資は控えることになっている。

 

美容医療機器に価格破壊の波

一台1000万円、2000万円もするフォト、レーザーなどの美容医療機を次々と揃えてきた「バブル期」はもはや遠い昔となった。導入する装置にかける投資額はできるだけ安く、そして治療効果のさらに高いものを求める傾向をみせる。その上、消耗品などイニシャルコストもクリニックでは抑えることは言うまでもない。

こうした美容医療機器に対するニーズから、フォトフェイシャル、超音波、キャビテーション、RFさらには、Yag、CO2フラクショナルレーザーはここ最近、価格破壊の波が起きている。加えて一台の装置で多機能の操作性をもつ機器が市場に投入されてきた。また本体につくハンドピースを交換せずに使えるものもある。

フォト、レーザーなどでは波長と照射法によってターゲットとなる治療部位、症状に作用させるが、フォト系で不可能だった深部のシミや刺青の消去にも治療効果が期待できる機種もあらわれた。さらにキャビテーション、RF、超音波など登場により深達度が高まった。これにより組織、細胞への「創傷治癒」効果が高まるため、リフティング、引き締め、脂肪除去などが可能となる。もちろんレーザーも技術改良が進みさまざまな治療ニーズに対応できる機種も増えた。そしてその価格も従来機種に比べ低い。

いずれにしても、こうした装置類に求められている最大の要因は、「投資額をできるだけ早く回収して治療効果の高い性能」だ。そのためには装置価格が最も重視される傾向にある。

 

皮膚の深部まで到達する機器も

非医療として使える美容機器に対する関心は相変わらず根強い。

メディカルエステを併設する医療機関やデンタクリニックが都心を中心に増えているが、こうした施設で必ずと言っていいほど導入されるのが、美容機器である。エステティシャンや看護師が非医療の範囲内でこうした施術マシンを使いこなせれば、医師が自らの診療を有効に使うことができる。ハンド術も含め熟練のエステティシャンを週何日か雇うだけで、クリニックの収入が大きくあがったところもあるくらい。

医療という痛みを伴うイメージをエステによって少しでも払しょくし、癒しの空間を演出することで患者からの支持は高まる。そして何よりも医療施設でのエステは、患者からの信頼が高い。美容機器の市場に医療機関という新たな流通が生まれていることは間違いなさそうだ。

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