美容アンチエイジング業界コラム

美容医療・アンチエイジングの市場性

アンチエイジングで数少ない体感療法「オゾンクレンジング」

アンチエイジングそして美容医療の世界で、内科的なメニューと言えば、高濃度ビタミンC点滴そして、血液オゾンクレンジングやUV照射による血液フォトセラピーである。これらは自費診療を導入するにあたり比較的採用しやすい。医師はもちろんだが、看護師でも基礎知識と要領さえ覚えれば処置ができるため、医師が治療に拘束される「時間というコスト」を抑えられるためだ。

血液オゾン療法は、昨年から美容医療、そして歯科にまで導入が始まり、治療というよりむしろアンチエイジングとしての体感で患者からの支持を得ている。医療用酸素を使いオゾンジェネレーターさえあれば、医師そして看護師にも使えるため、手を出しやすい。ジェネレーターと附属品、酸素などが経費負担となるが、都心の相場2万円~3万円の治療費をとれば比較的早く減価償却は終わるだろう。

一方、内科系の医師でも入りやすい美容医療のメニューに、プラセンタ注射やにんにく注射などの注射術。またヒアルロン酸やPRP、PPPプラズマフィラー、ヒアルロン酸などのフィラーやBOTOX注射などがある。いわば美容医療術の入門コースといっていい。

プラセンタやBOTOX製剤はその適用で、一部保険がきくため美容に縁のない医師でも安心してやることができる。始める医療機関は年を追うごとに増えており、今年もその動きは加速する。

眼瞼、フェイスリフト、鼻形成、輪郭形成術、脂肪吸引、豊胸術など、オペ難易度が高く、トレーニングを積まないとリスクも高い美容形成術はもちろん、こうした「プチフィラー整形術」でも、一見簡単そうに見える施術だが、理論と施術の講習、トレーニングを怠れば、事故の元になる。

くれぐれも導入する前は、信頼できる指導医に習うことをお勧めしたい(JAAS日本アンチエイジング外科学会で一年を通じてハンズオンセミナーを実施)。

 

院内物販について

先述の注射術と共に、美容医療、アンチエイジング医療の勉強を始める保険医で常に関心が高いのが「サプリメント外来」である。

血液検査による診断、カウンセリングをすることによって、より信頼度の高い栄養指導、サプリメント指導が可能だ。この分野で先駆的な療法を始めた溝口医師の「分子整合栄養療法」は、今やアンチエイジング診療を実践する多くの医師の定番的メニューといえよう。

栄養療法の本場アメリカの「機能性医学」を学びつつ、一方で先の溝口医師の考えを取り入れながら、新たなサプリメント療法を打ち出したのがアンサークリニック総院長・斎藤 糧三医師である。

現代人の慢性栄養欠乏に対して「病気に対する医学」でない、「病態に対する治療」としてアプローチしていく。この治療で対象となる疾患は幅広い。

そして栄養療法を施すにあたって斎藤医師が独自に見出したのポイントが検査データの見方。BUN、GOT-GPT、ALPとMgZnとの関係性、フェリチンなど、病態との関係性について多くの読み取り方をする。

自らが代表を務める日本機能性医学研究所からは、外来で提供されるサプリメント「mdFood」も揃えており、昨年からクリニックに理論の普及と共に流通が開始された。徐々にではあるが採用する施設は増えているという。

もちろんクリニックには、医師が処方するサプリメントだけが流通しているわけではない。

JSCAM日本臨床抗老化医学会で唯一の検定マークを取得するピーエスのコラーゲンサプリンメント「DACC-01」は、医療機関でとりわけ認知が進むブランドで、評価は高い。

また、歯科医院で使われるサプリメントを供給する会社も増えており、CICフロンティア、トレードピア(製品の概要は本紙既報)から発売される「歯周病」対応の製品には、施設からの注目が高い。この種の製品に今まで欠けていたエビデンスが揃っていることがその要因である。

 ビタミン、ミネラルなどベースサプリメント以外で美容、アンチエイジングに受け入れやすい素材は、プラセンタ、ヒアルロン酸、コラーゲン、さらに抗酸化活性をもつ機能性素材などである。比較的、認知が高く美容効果としても訴求できる内容成分が多い。今後、第2、第3の有力素材が生まれてくることを期待したい。

いずれにしても、サプリメント外来の利点は、患者からクリニックが信頼されればリピーターとなってくれるためコンスタントに来院してくれる可能性がある。治療単価が下がる傾向にある最近では、物販も活用してコミュニケーションを図ることは需要になりつつある。

 

新たな歯科診療の「業態転換」をはかる時代

歯科経営が苦しいと言われる。審美歯科そしてインプラントなど今や競合の時代に突入し、価格破壊さえ起っているようだ。

しかし点滴、血液オゾン、サプリメント外来などの新たな歯科治療としての付加価値を見出しているところもある。

一方、一昨年後半歯科医に向けて投げかけられてきた、ヒアルロン酸による口唇周辺の治療は、歯科治療が要因となるシワなどであっても、口唇外側は医科の範囲とする見解が一部の医療分野から出され、治療範囲を巡っては議論が絶えない。この場合、歯科クリニックが新たに美容医療を併設すれば全く問題ない。

いま、こうした「医科・歯科」連携の動きが活発化している。

また、エステを導入するデンタルクリニックもあらわれてきたことから、現状の保険診療だけでは到底その経営が成り立たない歯科診療にとって、新たな歯科診療の「業態転換」をはかる時代になった。

↑ページの先頭へ戻る