最新治療レポート

エステ術の科学的根拠示す

服部 恵氏、
JAASエステティシャン資格講座で提唱へ

エステは美容医療のフォロワー
だからこそエビデンスが必須

メディカルエステあるいはクリニカルエステというキーワードがにわかに市場で飛び交うようになった。そして、エステ業界では皮膚科医をはじめとする医師の台頭が際立っている。背景には、社会的にも医師の専門性に消費者が惹かれ、エステティシャンの社会的な立場も危ぶまれることが少なくないからだろう。これはエステティシャンと名乗るものの国家資格ではないため、教育を受けた学校間で知識や技術能力にも歴然とした差が存在することによるところが大きい。しかし、現実的には、医師はエステ施術者としての能力を持ち合わせている訳ではなく、あくまで施設あるいはサロンの管理者としての立場である事が多い。つまり、メディカルエステという言葉だけが先行し、中身が伴わないのが実情であろう。こうした現状を受け、美容医療に関わる医師らを中心とした団体JAAS日本アンチエイジング外科学会では、いかなるメディカルエステティシャンが社会的に求められているのかを検証し、その結果、知識、エステ実技技能だけにとどまらず、最新美容医療としてのレーザー治療、ボトックス注射、手術手技にまで精通し、さらには「美容医療」と相互補完できる確かなエステ術の立証とスキルをもつエステティシャンの存在が不可欠であるという結論に至った。それが昨年2月からスタートしたメディカルエステティシャン養成のためのJAAS資格講座で、医師、歯科医師講師陣の協力のもと系統的講義と実技供覧研修を行い、良質なエステティシャンの育成をめざしている。こうした中、JAASが一方で掲げるサロンと医療の良好な連携、提携をJAASが橋渡しする動きが2期目を迎えた今年の資格講習会から活発化してきた。さらに、先ごろ開催した「実技供覧研修」で講師役を務めた、服部 恵氏からは、美容医療のフォロワーとしてエステ術が披露され、集った受講者らは一様に「エステの役割を改めて知ることができた」など感嘆の声があがった。服部氏はまた「医療に負けず劣らないエステ術の施術効果」こそ、メディカルエステのスキルであると強調、その啓蒙にはさらに客観的な症例の報告や皮膚科学に基づいたエビデンスづくりが必要として、今後、医療機関と協力してエステ術の美容・健康評価をエビデンスベースで解析していく。

服部氏のエステ術は衆目を驚かせた

JAASの資格コースでは、メディカル(クリニカル)エステティシャンとして不可欠な細胞形態学/細胞生理学、皮膚組織学、これと関連した循環器(血液・リンパ)について、美容形成・皮膚科の医師から学ぶ。もちろん、エステに必要なフェイシャル、ボディトリートメントのハンド術、香粧品学と成分の薬事法令、ニュートリション学、接遇、接待、物販の基礎、サロン経営なども勉強する。さらには、脱毛やアートメイクなどの医学的、病理学的な検証を供覧しながら法的範囲と非医療人としての遵守についてもカリキュラムに盛り込んでいる。
講師にはエステ講師に加え、医師、歯科医も迎え、美容医療の実践講習というスタンスから、ヒアルロン酸注入、ボトックス注射の実際についてボトックスの原理、臨床までを幅広く網羅した講義と供覧・研修が行われる。
コースにはすでに昨年1期生およそ40名が受講し、2期目の今年は基礎講座、実技供覧研修を終えた。その中で、1期生23名が認定エステティシャンの資格を取得している。
こうした中、JAASが一方で掲げるサロンと医療の良好な連携、提携をJAASが橋渡しする動きが2期目を迎えた今年の資格講習会から活発化。「エステにはエステの役割、医者には医者の役割がある」(資格講座の統括講師・JAAS理事・山本 豊医師)ため、この良好な関係を、JAASではさらに強化していくという。
一方、先ごろ開催した「実技供覧研修」で講師役を務めた、服部 恵氏からは、美容医療のフォロワーとしてエステ術が披露され、集った受講者らは一様に「エステの役割を改めて知ることができた」など感嘆の声があがった。
12年前、自宅の一室6畳の部屋からはじまった同氏の〝エステ道〝とその技術はいま、業界から最も注目されるにまでになった。その匠の技を求めて、主宰するパールKに門を叩くエステティシャンが後を絶たない。
JAAS講習でも、その理論とハンド術がダイジェストで公開された。「美筋形成」術ではリンパ、血液、骨格、筋肉そして「気」がポイントとなるとして、細部にわたってトリートメントをしていった。資格講習のため詳しい説明は控えるが、施術の流れだけでなく、手の当て方、抜き方や強弱など、施術を受ける人にいかに心地よく不快感を与えず、そして施術効果をきちんと出していくかが重要だと指摘する。実技供覧では、もう一つ服部式ハンド術の代名詞ともいえる「骨筋小顔」術を公開した。韓国の骨筋法に、小顔経絡術、美筋形成を組み合わせた術式だ。
こうした施術によって、パールKの顧客の実に95%はリピーターというから驚く。
しかし服部氏、これで決して満足はしていない。
「医療に負けず劣らないエステ術の施術効果」こそ、メディカルエステのスキルであると強調、その啓蒙にはさらに客観的な症例の報告や皮膚科学に基づいたエビデンスづくりが必要として、今後、医療機関と協力してエステ術の美容・健康評価をエビデンスベースで解析していく。
「顧客の肌に触れているエステティシャンは、その経験値が医者より豊富です。だから医療側もメディカルエステを対立軸だとはみていない。役割分担を考えていけばいい。そのためには、医療サイドが何をやりエステがどのようにフォローするのかが問われる」
山本医師は、あるエステ専門誌のインタビューにこう答えている。そしてフォロワー役のエステにとって服部氏がめざす「エステ術の科学的根拠」が求められるはずだ。

○資格講座にご関心のあるエステ従事者、看護師、歯科衛生士の方は、JAAS公式サイトをご覧ください。

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