Doctor’s LABOトピックス

ゼロから学ぶボトックス注射術

ボトックスって何?何に使うの?副作用は?どのくらい持続する?
こんな疑問を抱く人も少なくないだろう。美容医療術として名前くらいは聞いたことはあるけど、よくわからない。そんな声は多い。そこで、JAAS日本アンチエイジング外科学会主催のエステティシャン向け講習会で講義をした豊季会 山本クリニックの山本 豊医師(JAAS理事)の「ゼロから学ぶボトックス注射術」から、そのポイントを拾ってみた。

ボトックスって何?

ボトックスというのは、商品名で会社が勝手につけた名称。A型ボツリヌストキシンというのが薬としての正式名称です。ボツリヌストキシンとは、ボツリヌス菌の菌体外毒素であり、血清型によってA型~G型まで存在します。臨床で使われているのはA型で、毒素が強力で安定した活性を示すためA型を主に使用しています。日本では、1996年に顔面痙攣などの病気に保険承認され、1990年代から美容医療クリニックで、美容用途(しわ取り)に普及しました。作用メカニズムは、神経、筋接合部からのアセチルコリン放出抑制により神経筋伝達を阻害し、筋肉を弛緩させる。つまり、筋肉が神経のいうことを聞かなくし、筋肉が動かなくなるというものです。

ボトックスは何に使うの?

しわ治療で使うのは作用メカニズから考えれば、おのずとわかる。筋肉を動かなくすることによってしわが出来なくなるためです。筋肉に注入すると痩せさせるので、咬筋肥大の方にもよく使用します。 また、また汗を抑える(アセチルコリン放出抑制による)ことも出来るため、ボトックスは多汗症の治療や、更年期症状のひとつであるホットフラッシュで頭髪や額に出る汗を抑えることができます。最近では、花粉症にも適応があることを認める医師も少なくありません。わかりやすくいうと、ヒアルロン酸等のフィラーは、皮膚や皮下に注入してシワを持ち上げるのに対して、ボトックスは、しわをパテで埋める感じといったイメージでしょうか。

誰にでも注射できる?ちゃんと禁止事項があります

1.妊娠している方、妊娠の可能性がある方
2.授乳中の方
3.重症筋無力症などの神経筋接合部の病気がある方
4.神経筋伝達を阻害する薬剤(アミノグリコシド系薬剤、Caチャンネル阻害剤等)服用中の方
5.注射部位に炎症がある方
6.抗凝固剤(血液さらさら)を内服中の方
7.重篤な心疾患、腎疾患、肝疾患のある方

副作用は?これもあります。注射法を間違えるとトラブルのもとに。

1.左右非対称
2.神経麻痺(写真を参照)
3.眼瞼下垂(眉間、額)
4.眉毛下垂(額)
5.閉眼不全(眼輪筋麻痺)
6.涙道機能不全(涙小管の機能低下で、流涙、眼脂)
7.大量投与による死亡

持続は?禁止事項はある?

持続効果は、3-6ヶ月です。 かなり個人差があります。

ボトックス製剤の作り方?

方法はオーソドックスの希釈法などありますが、それぞれのクリニックが種は明かしません。オリジナル法があるようですが、基本的にはほとんど一緒です(内容はJAASライブ講習会などで医師向けに公開していますので、ここでは控えさせてください)

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