Doctor’s LABOトピックス

ロコモティブシンドローム対策でサプリ需要に広がり

40代以降の5人に4人が予備軍

加齢から骨、関節、筋肉が衰え、寝たきりに

筋肉の減少は脂肪増に
サルコペニア肥満への警告も

ロコモ対策は整形外科学会などで取組本腰いれる

厚生労働省が進める「健康日本21」。国民の健康づくりを応援する動きだ。2003年~2013年2月の10年間で第一次計画が終了し、2013年3月から第二次計画がスタートしている。この中にも含まれているのが「ロコモ対策」だ。ロコモ対策の認知度はまだ20%程度だが、第二次計画の間に8割以上に認知させることを目標としている。ロコモ対策は整形外科学会などが積極的に取り組んでおり、クリニックでの治療とあわせてサプリメント等も多く出てきている。今までは関節痛対策としてグルコサミン、コンドロイチンがロコモ対策の主流だったが、最近はより多くの商品が出てきている。

ロコモ(ロコモティブシンドローム/運動器症候群)は骨、関節、筋肉といった運動機能が加齢や生活習慣が原因で低下し、結果として寝たきりや要介護といった状態になる可能性が高いことを指す。今や40代以上の5人中4人が予備軍とも言われており、メタボ同様に若い頃から注意すべき症状である。
そんな中、味の素は「アクティブシニア プロジェクト」を立ち上げ、全社的にロコモ予防を進めている。世界最長寿国と言われる日本だが、健康でいられる「健康寿命」はその10年ほど前に訪れる。そこで同社では、平均寿命までの約10年間は、要介護生活になる可能性が高いため、健康でいられる「健康寿命」をできるだけ延ばせられるように様々な取り組みを行っている。前述のとおりロコモは運動器(骨、関節、筋肉)の障害であり、これらの能力が低下することで要介護になる可能性が高まる。 
とくに同社では、3つの運動器の中でも組織のターンオーバーが圧倒的に早い筋肉に着目。それぞれの組織のタンパク質ターンオーバーが骨は7年、関節は117年に比べ、筋肉は1~2か月で半分の組織が入れ替わるため筋肉を増やすことが大事であると話す。また40代以上から対策を初めても骨量や筋量の低下を抑制することしかできないが、20代、30代と若いうちから運動や姿勢を保つことで骨量や筋量を良好な状態に保ち、シニアになった時の低下を抑制することができる。
ロコモと同じように最近話題にあがるのが、サルコペニア肥満だ。加齢によって筋肉量が減少し脂肪の割合が増えた状態を指す。年をとっても体重は変わらないので安心していたら、身体の筋肉が減少し脂肪が増えていたということもよくある。
運動や姿勢を保ち対策をするのとあわせて、同社ではロコモ対策、サルコペニア対策として必須アミノ酸のロイシンに注目している。2013年10月には独自開発したロイシン高配合必須アミノ酸混合物「Amino L40」を3,000㎎/本を配合した「アミノエール」をリリース。「Amino L40」はテキサス大学、東京都健康長寿医療センター研究所、ノッティン大学等数々の研究機関で有用性研究を重ね、国内でもその有用性が評価されている。2013年11月の日本アミノ酸学会学術大会では、ロイシン高配合必須アミノ酸が食品たんぱく質に比べ少量で筋たんぱく質合成作用を持つという研究結果を明らかにし、発表も行っている。

一方、マカ、キャッツクローを日本に初めて輸入した南米有用植物専門商社のラティーナによると、ロコモ対策としてドラゴンブレッド、マカ、キャッツクローを原材料にした「レパラゲン・プロ」の需要が増えているという。同商品は米国の国立衛生研究所から授与された奨励金で開発されており、米国でエビデンスも取得済みだ。
2006年に米国ケースウェスターンレザーブ大学とオールバニー医科大学の研究者が公表したデータで、レパラゲンという天然物の複合サプリメントによって、ヒト軟骨の修復遺伝子IGF-1(インスリン様成長因子)を活性化し炎症による関節破壊を阻止することが認められている。IGF-1は新しい軟骨形成を促進し関節を修復する因子として知られている。
グルコサミン、コンドロイチンが主流だった関節不全治療に、レパラゲンは新しい方向性を見出したともいえる。
具体的には、マカ球根のエキス末RNI249が成長因子を活発化させ、キャッツクローの鎮静作用、ドラゴンブラッドの抗酸化作用によってシニア層の日常生活をサポートする。ドラゴンブラッドは、ペルーの先住民が止血剤として使っていた赤い樹液で、白血病・骨折・痔疾の苦痛を和らげたり胃潰瘍などの激しい腹痛を和らげるために使用していたという。
同社によると2012年3月の発売以降リピーターも増えており、愛用者からの声には、「グルコサミンやコンドロイチンで満足できなかった」「甲殻類アレルギーでも飲める」「新幹線など長時間の移動も楽になった」など好評だという。
年齢を重ねることで骨密度や骨質は低下し、骨粗しょう症になるリスクも高まってくる。
とくに骨粗しょう症は、推定される患者数のうち、7割程度が自身が骨粗しょう症であることに気づいていない。そんな骨粗しょう症を和らげるロコモ対策商品として、鯉の鱗から抽出したプロテタイトを使った「コツナール」を製造販売するのがナカトミで、I型コラーゲンにカルシウム、リン、マグネシウム等ミネラル成分の結晶体が付着しており、天然素材のコラーゲン含有ミネラル複合体として注目されている。
従来のカルシウム食品よりも低分子のためミネラル成分の吸収率も高い点が特徴だ。臨床試験も多数行っており、歯科大学等と共に行った試験結果によると骨密度や骨質に良い変化をもたらすという結果が出ている。実際に3か月程度服用を続けると骨密度に変化が出てくる。

通常の生活では具体的な数字は見えにくいが、骨密度計測器がある整形外科などで同商品を推奨した場合は、定期的に機器を使って確認することで数値としても実感できると話す。同商品は2年ほど前から販売を開始したが、大きな宣伝は行っていないものの現在は相談薬局を中心に口コミで顧客が増えてきているそうだ。
 米バーグストロム・ニュートリション社の特許素材「OptiMSM」は、世界のスポーツニュートリション・シーンでサプリメントの定番として知られている。
MSMメチルサルフォニルメタンとは、ジメチルスルフォン(DMSO2)またはメチルスルフォンとも呼ばれ、果物、野菜、穀物や人などの動物でも天然に生じる有機硫黄化合物だ。しかし加熱や調理、保存過程でMSM硫黄は消失してしまう。
 このMSMを安定的にしかも高純度に精製・製造しているのが米バーグストロム・ニュートリション社で、このMSM原料を使ったサプリメントはアメリカはじめ世界中に流通している。とりわけ運動で増大する酸化ストレス、関節・靭帯・筋肉やその他の結合組織に対して、MSMサプリメントの摂取は有用で、損傷、炎症、裂傷を和らげるエビデンスは少なくない。

 ロコモ対策にとってこのMSMは欠かせない機能性素材といえよう。
 抑制効果は、筋肉などの炎症、痛みだけではない。2007年に実施された試験では、グレードⅡのOA軟骨細胞において炎症性サイトカインのTNF-αおよびIL-1のmARN発言を減少させる知見も明らかになっている。
 MSMは日本ではCICフロンティアが総代理店として販売しており、すでに関節系サプリメントの一アイテムとして市場に定着する。
ロコモは40代以上だけの問題ではない。20代、30代のうちから骨や筋肉をしっかり作ることで将来の身体の機能低下を防ぐことはできる。高齢化、年金減額など、将来不安が増えている日本では老後の問題は他人事ではない。少しでも健康で長生きすることは金銭的にも精神的にも前向きな生活を送れるだろう。関連学会や企業に任せずに、クリニックからも情報発信をしていくことが重要だ。

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