21世紀 医療革命の旗手たち 第66回 ヤナガワクリニック院長 梁川 厚子MD
育毛メニューに独自の治療プランを提供、話題に
志をたて、医学の道に進む若きドクターも現代西洋医療(主流医学:Mainstream Medicine)だけではやがて、限界を感じる時期があるという。確かに医学界では最先端の医療技術やガン、難病に挑戦してはいるが、医療の現場ではそんな試みも「非力な医術」となることが少なくない。こうした現実に直面する臨床医たちの中には、現代医療の恩恵を受けることなく悩んでいる患者に焦点をあてた「統合医療」や、病気のみならず「病気や加齢に伴う予防こそ医学の基本」として美容アンチエイジング医療を精力的に行なうドクターも多い。21世紀医療に新風を起こすのは、こんな人達に他ならない。シリーズ66回目は梁川 厚子医師を訪ねた。
美容外科、美容皮膚科のドクターでありながら、少し異なる診療ステージで話題をさらうドクターがいる。新育毛システム「ヘアメディック」を導入し、美容医療の施術と併用しながら新たな需要を掘り起こす梁川 厚子医師だ。
もともと「これからはメディカルエステの時代が到来する」として、2007年大阪堺筋本町に構えていた前身の「あつこクリニック」から、昨年春、南船場に移転し、リニュアルOPENを機に、医療でしかできないエステ部門を充実させる。
折しもその秋、開催された国内エステティック最大のエキスポ「ビューティーワールド西」に足を運び、〝一目ぼれ〝したのが「ヘアメディック」だったという。自ら体験しその後、開発発売元のスカンジナビアを通じて、クリニックでのデモ実演を依頼。その体験によって梁川医師の驚きは、確信に変わっていく。
「シャンプーせずにこのシステム(リラックス、ヘッドの育毛促進などそれぞれの用途によって独自のMulti spectrum waveを使い分ける)によって皮脂や角栓が取れたことをスコープで確認し、さらに筋電流に近い別の電流を上半身に当てながら、頭部には生体電流に近い電流を当てたことで、血行は明らかに改善されました」
およそ20分ほどの施術で、院長の頭皮、さらにはむくみが解消され、肩・首がほぐれ、心地のいいリラックス状態になったという。
そして「ヘアメディック」はクリニックに導入されるが当初は、看護師が施術トレーニングを受けメディカルエステ部門の一環として稼働していく。とはいえ美容皮膚、美容外科の看板を掲げているため、クリニックでの看護師の業務は多忙だ。美容医療では、ある意味「医師のみならずスタッフの労務効率をいかにあげるか?」が問われ、それは経営上の採算に直結しかねない。
そうしたことから、梁川医師が決断したのがエステティシャンの新たな採用だった。今春から、このエステティシャンが「ヘヤメディック」も含め、クリニックのエステ部門の中心的な役割を担うことになるはずだ。
とはいうものの、「ヘアメディック」はエステサロンでも導入されていることはいうまでもない。美容医療でしかできない差別化は?と考えた末、院長が育毛メニューとしてつくったのが美容医療の施術と「ヘアメディック」を併用する治療プランである。
もともと同院には美容皮膚の施術として、しみ、ニキビ、赤ら顔を改善する高周波マシン「フォトSRA」やたるみ治療に有効な赤外線と高周波を組み合わせた
「リファーム」、老人性色素班、ソバカス、タトゥーやアートメイクに適用できるQ-アレックスレーザーさらには、美容皮膚科の定番ともいえるCO2フラクショナルレーザーなどを揃え、患者から好評を得ている。
しかし、育毛セラピーで併用されるのは、メソセラピーとフラクショナルRFマイクロニードルマシンによって育毛効果を促進させるという。この治療術はエステサロンでは決してできない。
「ヘアメディックの施術で血行を良くし新陳代謝を促した後、毛穴を十分に開き、メソセラピーもしくはマイクロニードルどちらかの治療を選んでいただきます。注入は極細の注射針で注入するナパージュ法をもっぱら採用しています」
さらに治療効果をあげたい患者には、最後に赤色LEDを当てることもあるようだ。
男性のみならず薄毛に悩む女性は少なくない。女性という立場で診断し治療してくれる梁川院長には、いま来院する患者は後を絶たない。そして治療を終えた患者には、ケラチン配合のサプリメント「艶艶スクスク」をそっと勧めることも忘れない。枝毛、薄毛、抜け毛の予防にケラチン蛋白とコラーゲン、ヒアルロン酸、プラセンタが処方されたサプリがお勧めらしい。
後回しにはなったが、もちろん〝本業の美容医療〝にも患者からの支持は高い。
美肌、スキンケアのための機械による治療の他、PRP、ヒアルロン酸注入、BOTOX、ピーリング、トレチノインや、糸によるリフティング「リードファイン」などをメニューとして用意する。また美容外科として眼瞼形成や女性器形成術などもこなす。
因みに梁川院長、医学生時代には人から勧められてミスユバースにエントリーして、準ミス日本に輝いた経歴ももつ。美容医療に就くべくして就いたドクターともいえるだろう。
「ヘアメディック」
「ヘアメディック」のコンセプトは「リラックス効果」「育毛促進効果」「抜け毛予防」で、育毛とスカルプケアだけでなく、ボディへのリラックス効果とフェイスに対するアンチエイジングの施術効果をもつ。このシステムではストレスによって首、肩の凝りが、頭皮環境の悪化につながるため、ボディのメンテナンスもできる機能をもたせている。
システムで使う電流は「Multi spectrum wave」と呼ばれるもので、従来機に多く搭載される単一周波数とは違い、超低周波、低周波、中周波、高周波を組み合わせた広帯域の周波数を使う。人間が本来もっている生体電流に近い電流(ヘアメディック電流)といっていい。このそれぞれの周波数を先述のリラックス、ヘッドの育毛促進、フェイスのアンチエイジングの目的に沿って使い分ける。
そして肩、首などのボディに通電する電流では、筋電流(脳が指令を出し筋肉の収縮をさせる電気信号)に近い電流を用いて、3つのモード切替をつけている。リンパを刺激して免疫力向上が期待できるDRモード、疲労回復のためのTEモードそして筋肉の引き締めのためのSHモードである。
抜け毛を予防し育毛を促進するためのヘアメディック電流はFGF-5モード、バルジモード、PROモードの3つがある。
脱毛プロセスで最近、注目されているのが「バルジ領域」と呼ばれるところで、再生医療ではこの領域で幹細胞の生成が営まれていることが明らかになっている。バルジ領域は「脱毛シグナル」と共に「発毛シグナル」をコントロールする司令塔でもあり、男性ホルモンTGT-βを生かすも殺すも、バルジ領域次第といっていい。こうしたことから「ヘアメディック」では、電流の深達度を3つのモードによって使い分け、「育毛」「発毛」の促進効果を最大限に引き出していく。
電流源の本機に、ボディ、フェイスに通電させるためのパッドと、頭皮に通電させるための専用のグローブを用意されている。また各種の通電モードに加えて皮脂の汚れを落とすイオン電流を流すモードも備わっている。さらに消耗品としてスカルプエッセンス、専用シャンプーも用意されている。