Doctor’s LABOトピックス

群雄割拠のサプリメント市場

注目商品を追う

マーケット成長鈍化の中、売れる商品づくりのヒントは?
開発・企画で「医療現場」「女性の視点」「シニア層」「美容外科」がキーワード

サプリメントは代替医療の場面で利用頻度が高い(前号既報)。だが現状では、商品や売れ筋の移り変わりが目まぐるしく、安定して売れ続ける商品はまだ少ない。ある調査によると、健康食品やサプリメントを合算した「機能志向食品市場」は2011年に「前年比4.5%増」の6849億円だったが、2012年は「前年比1.6%増」の6961億円が見込まれているという。ダイエット、関節・骨サポートを効能とした商品群が2011年、2桁の成長を遂げているものの、2012年にはほぼ全分野にて成長が鈍化。プラセンタのような急成長した成分もあるが、2013年でもその市場規模は100億円程度といわれており、まだまだ規模は大きくないのが現状だ。今後も当面は群雄割拠の状態が続きそうなサプリ・健康食品市場。今回は、混沌としたサプリ市場にあって新たなコンセプトを投げかける、注目の商品にスポットを当ててみた。

腸内環境を改善のため医師と共同開発

サプリトラストが昨年末にリリースした「ベリラクト」は、乳酸菌発酵物質N-21や植物エキスなどを配合した腸内環境を整えるサプリだ。商品の監修を行う医療法人田中宏明・内科胃腸科クリニックによると、胃や腸に何らかの症状がある場合、「口から肛門」までがスムーズに通過できてないことが多く、本人が「胃が悪いのでは?」と来院した場合も、大腸にも原因があることが多いそうだ。
多くの患者を診る中で、腸内環境を整えるためのサプリの必要性を感じ、同社と共に研究・開発を実施。今回商品化された「ベリラクト」は、乳酸菌発酵物質N-21をはじめ、腸内環境改善を図る様々な有効成分を組み合わせている。
主成分である乳酸菌発酵物質とは、「乳酸菌生産物質の産生」と同じプロセスを共棲培養によって再現したエキスで、本来は乳酸菌が腸内で作りだす代謝物質を体外で培養し口から摂取することができるため、腸管への効果だけではなく、口腔内の歯周病や虫歯等にも作用する点が特徴だ。乳酸菌発酵物質とあわせて、腸管運動を促進させる生姜やオタネ人参、山椒エキス、さらに食物繊維やオリゴ糖を加え、水がなくてもおいしく飲める顆粒のサプリになっている。

ダイエットしていても美しく

ビューナチュレが今年4月に発売した新商品「プリティウーマン」は、ダイエット中でも美しくありたい女性をターゲットとしたダイエットサプリだ。

開発者が女性であることもあり、原料にはこだわりが強い。アフリカで古くから使われている食欲抑制作用・メタボ抑制・脂肪の合成抑制作用などのあるアーヴィンジャガボネンシスエキス(アフリカマンゴノキ)の種子エキスを中心にダイエット関連成分を配合。冷え防止にヒハツエキス(ロングペッパー)、女性ホルモンに似た作用を持つ植物性エストロゲン・イソフラボンが大豆の40倍ほど含まれているプエラリアエキス、美白効果のあるパインセラ(パイナップル抽出物)、さらに6種類のミックスベリー(ストロベリー、クランベリー、ラズベリーなど)も配合。
ベリーは強い抗酸化力を持っており、アンチエイジングにも効果的と言われている。またハードカプセルにもこだわりがあり、タピオカのデンプンを発酵することで得られた水溶性の多糖体「プルラン」を使った植物由来のカプセルを使用。ダイエットだけではなく、健康や美容にも配慮した製品として贅沢な成分を配合したサプリとなっている。

アパレルから参入 新発想の商品企画・販売

オリジナル商品およびOEM商品開発を行うラティアクリエイツは、サプリ原料を自社で開発し、特許を取得している。この自社開発原料「アンドラティア」は植物抽出発酵エキスで、米ぬか、グァバ、大豆を使った天然由来の成分だ。抗酸化力が高く、化粧品・サプリメントの両方に使用できるという特性がある。この原料によるサプリは同社で複数あるが、メイン商品である「ビューティーアクティブ」の場合、独自原料のアンドラティアに加え霊芝エキス、コラーゲンなどの6種類の美容素材を配合し、アンチエイジング、美肌、疲労回復など女性の身体の悩み全般に効果的だ。
同社では、企画・開発力とあわせて徹底した販売管理・マーケティングマネジメントを行っている点も特長だ。消費者が購入した化粧品の容器サイズやポンプの標準プッシュ数から換算して次回商品の提案時期をスケジュール管理している。もともとアパレルという異業種から参入した会社ということもあり、サプリ業界のルールにとらわれず独自の発想で商品企画・販売を行う。
現在ではグループ会社でエステサロン、飲食店、ブライダルプロデュース事業なども行っており、女性ユーザーの生の声を広い、マーケティング力に特化したブランド作りを行っている。

ミミズで血栓症改善

サプリ・コスメ等の企画製造やサロンコンサルティングを行うウェーブコーポレーションでは、今年になって新しいシリーズ商品を複数展開している。
一つ目は、今後ニーズが拡大するであろう中高年向けのサプリとして、ミミズから抽出した酵素のルンブルクスルベルスを配合した「ルンブルクプラス」だ。同商品は血栓症の改善や血糖値を抑えることができると注目されている。ルンブルクスルベルスは、1970年代後半に宮崎医科大学(現宮崎大学医学部)名誉教授 美原恒先生によって脳出血・脳梗塞の研究中に発見された。ルンブルクスルベルスはルンブルキナーゼという線溶活性酵素(せんようかっせいこうそ)を含み、血栓を溶かす成分として注目されている。同商品では、ルンブルクスルベルスの他、マカやローヤルゼリーを含み更年期障害の症状軽減、アンチエイジング対策にも効果的なサプリとして販売を開始している。
同社ではこの商品以外にも、韓国のKGC社と提携し漢方の「五色食材健康法」を取り入れたゼリーサプリや、高麗人参から抽出・発酵したエキスを使った美容ドリンクなどをシリーズ化した「BOUM(ボウム)」も新しく発売開始している。

美容外科への流通めざし 術後の創傷治癒に照準あわせる

JSCAM日本臨床抗老化医学会に所属する医師からの要望で生まれた、コラーゲンサプリ「DAAC‐01」(豚皮由来高分子コラーゲン配合)を販売するピーエスでは、美容外科への導入を進めるため、術後の創傷治癒を早める臨床スタディを実施し、このほどその結果が明らかになった。
もともとコラーゲンには動物試験で皮膚の代謝を活発にし傷の治りを早めるとするエビデンスはあった。しかし同社ではかねてから「美容外科」の医療現場でこそ、この有効性が役に立つとして、ヒト臨床の実施に踏み切った。
都内の美容外科医を担当医に、同品を一日7g、術前1週間前から術後3週間まで4週、飲用してもらった。
その結果、「腫れの解消」「痛みの解消」「止血の解消」「肌の状態」の5項目において、その回復改善が「良い」「やや良い」とする患者が62%にのぼった。とりわけ腫れや止血の改善が早まったとする患者が多く、肌の改善には顕著な促進効果が示された。

一方、患者からのアンケートをもとに全身への改善効果をみたところ、化粧のノリ、肌のハリ、潤いさらには髪の毛、爪、歯茎などの状態に有意な改善効果もみている。
治験を担当した医師によれば「DAAC‐01は充分に美容医療の領域に活用できる」と結論付けた。

流通在庫抱え海外に安く転売などの現実も

2013年も引き続き新商品が吹き荒れそうなサプリ業界。売れる商品づくりには開発・企画に、こうした「医療現場」「女性の視点」「シニア層」「美容外科」といったキーワードが隠されているのかもしれない。
とはいえ業界からは「既存の販路では今以上の売上拡大が見込めないので、新しい商流を模索している」、「OEM商品を請け負うものの、目標販売数に達せずに大量の在庫を抱えてしまうクライアントもいる」などの意見もあり、決して明るい話題ばかりではない。
余った商品在庫は、メイドインジャパンブランドとして海外で安く販売するなど、流行の裏で各社が様々な努力をしている点も、見逃せない。
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