美しさ=技術+医師の美的センス
美容形成の世界では外科的なスキルもさることがら、術者の美的センスが求められることはいうまでもない。患者の要望を満足させられる美的センスと同時に、いかに「より美しい魅力的な顔」を作り出せるか?美容形成医の真価が問われる最大のポイントといってもいい。
そんな要望にヒントを投げかけたのが、阪大大学院医学系研究科・美容医療学講座の高田好章教授が発表した「美しさの基準」だ。
「美しさの基準」とは
「美しい・魅力的な顔」の特長は一般的に
(1)大きな眼
(2)小さく高い鼻
(3)小さい顎
(4)頬の頂点が高い
(5)厚い唇
(6)きれいな肌
としているが、これでは漠然とした基準であることは否めない。
そこで高田教授が示した外人女性の比較「どちらが魅力的か?」から論を進める。
古今東西のモノ、植物、動物、造形物を例にだして理想的なバランスは黄金比率(Golden Ratio)=1:1.618として割り出した【Jefferson Yの理論】がある。
高田氏は顔もまた同じであると投げかけている。額の毛髪の生え際から鼻までと鼻から顎まで、そして眼から唇と唇から顎までの比率1.1618:1となる。
ちなみに車ベンツのデザイン、植物の葉っぱの伸び方、昆虫の手足さらには古代パルテノン神殿やピラミッドの構造、化石アンモナイトの渦巻きにも、この比率が反映されているそうだ。
なお、この比率を歯科矯正をした患者や、モデル・女優と比較するとおもしろい。縦の基準は、黄金比に最も近い反面、横の比率ではモデルや女優はその比率が理想とはかけ離れている。要因は眼が大きすぎるのだという。
最近ではPallettらが考えた新しい黄金比率もある。それによると「目と口の距離は顔面の長さの36%が理想で、両目の距離は顔面の幅の46%が望ましい」としている。
結局、「魅力的な顔」とはどのような顔なのか。
それは、「平均顔」が最も魅力的という研究結果もあるようだ。
童顔を手に入れる施術とは
発表では最後に「童顔」と魅力について述べている。
童顔の特長として、
1)顔面全体が丸みを帯びていること
2)眼が丸くて大きい
3)眼の周囲が陥没していない
4)鼻が小さめで短い
5)頬部の頂点が高い
6)頬がこけていない
7)顎が小さい
などがある。
上記のような顔の若返りをはかる際には、
フィラーなどでボリュウムアップをして、眼回りや頬そして眼窩下部(頬骨)のたるみ(下垂)を修正していくことだという。
最後に高田氏は、「美しい顔、魅力的な顔を方程式にように導きだせるわけではありません。しかし医師と患者さんとの共通の参考事例、ツールとして活用しながら双方が十分に相談の上施術していけば、大きなQOLを得られるでしょう」と結論付けた。
美容医療マーケットの未来は、術式だけではなくこのような「美しさの基準」にヒントが隠されているかもしれない。