最新治療レポート

脂肪溶解マシンでかつてない臨床報告

高密度焦点式超音波の痩身機「liposonix」で腹部、大腿への効果確認

JSAPS総会で、神戸アカデミアクリニック小西 和人医師が発表

アメリカ発の痩身マシン「liposonix(ライポソニックス)」に対して臨床医からの評判はおさまる気配がない。もちろんその有効性に対する高い評価であることはいうまでもない。導入するクリニックから「1回1時間の治療でワンサイズダウン!のキャッチどおり、「liposonix」によって脂肪の溶解、サイズダウンが認められる」と相次いで寄せられるからだ。そして10月のJSAPS日本美容外科学会第35回総会で、西記念・神戸アカデミアクリニック院長の小西 和人医師の臨床報告がきっかけとなり、その評判に拍車がかかった。痩身効果はすでに欧米でAesthetic Plastic Surgery誌にも掲載され、美容医療の世界では周知のところとなっていたが、小西医師の発表により日本人に対しても同じように臨床効果があることを認めた。報告されたエビデンスでは腹部、大腿共にサイズダウンを示し、CTによる皮下脂肪面積の減少も認めている。小西院長、手術では年間490症例を超えるオペ実績をもち、吸引術は得意とするところだが「脂肪はとりたい、サイズダウンしたいという患者さんでも、吸引には抵抗感があるという方も少なくありません」ということから、昨年、日本で最初の「liposonix」を導入した。今ではアジアで最多の症例数を数えるまでになった。「多くの痩身機が一度の施術では効果が少なく、多くの時間とお金を費やしてしまう。その点liposonixはキャッチフレーズに嘘がない」として、自信をもって患者に勧めることができるという。痩身治療で来年もこの〟ライポソニックス現象〟はさらに続くことは間違いないだろう。

総会で発表された小西医師からの臨床データは、ある意味衝撃的だったといえよう。その信頼性は欧米で積み上げられた「liposonix」の臨床成果に決して劣らない。それどころかさらに高い信憑性をもつエビデンスとの評価を得た。とりわけ特長的だったのが大腿に対する痩身効果で、EUの承認を得ているとはいえ大腿については充分な臨床データがなかったという。
そこで、小西医師は腹部痩身に加え、大腿へのハーフサイズテスト(片側を照射し、もう片側は照射しないでサイズ変化をみる)による臨床効果の検討を行った。被験者32人に対して「liposonix」の施術を実施、
照射部位をエコーによって大腿後面にデザイン(皮脂厚2.5cm以上の部位)して、その照射を0J/?・140J/?・1601J/?・180J/?としてランダム化比較試験を行った。臨床効果の判定は、施術前後の大腿周径、定格写真さらにCT及びFat Scan(N2Systems社製)を用いて比較検証した。
その結果、3つの照射群では周径で平均1.26cmの減少を示し、また3つの照射群と非照射群での大腿の周径変化に有意差を認めている。さらにCTによる皮下脂肪面積の測定をしたところ、照射群で照射側大腿の皮下脂肪が15cm2減少し、非照射群との比較でも有意差があった。
「照射側で最大2.3cmの周径減少も認めた被験者もあり、CT測定では照射を行った大腿外側、内側ともに皮下脂肪の減少を認めています」(小西医師)として、
「liposonix」が大腿痩身に有効であることを結論づけた。
日本人女性特有の臀部のかたち、いわゆる「洋ナシ型」は加齢に伴ってとくに顕著になる。この試験での照射範囲が大腿付け根であることから、ヒップのたるみを「付け根」のサイズダウンによってリフティング効果を演出することができるかも知れない。吸引に抵抗感をもつ需要を掘り起こせるはずだ。
ちなみに「liposonix」の腹部皮下脂肪への臨床検討についても、その報告で明らかな有効性を認めている。被験者は42人で照射エネルギーの4群は大腿試験とかわらない。また判定法も同様である。海外ではすでに無作為化比較対照試験で、平均2.6cmの腹囲の減少が報告されているが、今回の臨床結果では被験者31人中29人でサイズダウンを認め、4人に一人の8人で3cm以上(最大で4.2 cm)の減少を示した。
腹部ではその照射部位を臍部と側腹部としたが、いわゆるアメリカではLove handleと呼ばれる「背中寄りの横腹」のところで贅肉がつきやすい。照射ターゲットを大腿への試験と同じように、ダウンサイズ需要がある部位にしたことで、このエビデンスが直ちにクリニックの治療メニューとして活用できることがうれしい。
試験結果ではさらに、CTによる皮下脂肪面積の測定で、照射群が25.66cm2の減少をみている。
なお腹部、大腿とも照射強度によるサイズ変化の違いは認めていない。

「liposonix」

「liposonix」の開発・発売元は、SOLTA MEDICAL社(日本はSOLTA MEDICAL JAPAN)で、開発の背景には、アメリカでの肥満率の上昇があったことは言うまでもない(105号既報)。
一方、痩身分野での美容医療機で最近話題を集めてきたものに超音波を応用した装置、そして冷却機能を転用した機器がある。「ウルトラアクセント」や「ゼルティック」など、導入したか、していなくても一度は耳にした美容ドクターは少なくないはずだ。冷却によって脂肪細胞を破壊させる機器は、その操作性や施術者、患者ともに腹部の皮膚をかなりの力で持ち上げるなど、労力と時間を要する反面、複数回の受診をしなければ際立った効果を望めない。また超音波の熱伝動は、皮下脂肪組織にまで到達できるが、縦波、横波などの超音波による熱が分散してしまい、効果的なターゲットポイントにフォーカスできないという声も少なくない。
しかし「liposonix」の最大の特長は、体表から深部へと超音波が到達する際、「皮下脂肪組織の中心部」に焦点化されることである。
もちろん照射時には体表には熱が加わらないため火傷などのトラブルを起こすことはない。照射は、ピエゾ電気変換器といわれるところで超音波の音響波を発生させ、1.3cmの深度に焦点ゾーンをあわせていく。脂肪を溶解する強力なパワーがその個所に集中するため、治療効果は限りなく高い。
さらにトランスデューサーと言われる人工カメラによって、照射面の操作は、自動的に選択しながら、超音波1ショット毎に24のラインの熱伝動の軌跡が描かれていく。

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