Doctor’s LABOトピックス

ビタミンC,Eより強力な抗酸化物質発見!

渡辺オイスターの渡辺代表

博士論文、海外学術誌次々に掲載、両親媒性の特性でDNAを酸化損傷するROSを消去

用量依存的にLDLの酸化抑制、動脈硬化にも期待

ビタミンC、Eよりも抗酸化力がある新規の抗酸化物質が、渡辺オイスター研究所によって明らかになったことは当会でも過去に。そして研究成果は、同社代表である渡辺 貢氏の医学博士論文(博士取得の研究室:北海道大学大学院医学研究科 免疫・代謝内科学)として、先ごろ北海道医誌に掲載され、一方でJournal of Agricultural and Food Chemistryにも掲載された。改めてこの研究成果を紹介したい。

既報で紹介したこの抗酸化物質E6(現在ではCG7と命名されている)は改めて概略しよう。

この物質、何も抗酸化活性が高いだけでなく、非酵素系のAntioxidantsでは極めて稀な両親媒性(水溶性、脂溶性の性質を兼ね備える)という化学構造をもつ。この特性から既存の抗酸化物質では到底叶わない、細胞膜を通り、細胞質内の細胞核で遺伝子DNAを酸化損傷させるROS(活性酸素種reactive oxygen species)に対して、直接その消去メカニズムが働くことになる。天然由来でなおかつ全く新しいAntioxidantの発見として、学術的にもその価値は高い。渡辺オイスター研究所では長年、栄養の宝庫と言われる牡蠣の有用性を追跡。積み重ねてきた基礎試験、臨床試験のエビデンスは世界でも類をみない。そして突き当たったのが、その強い抗酸化作用を示す根拠となる活性酸素消去能力だったことから、「ブラックボックス」の特定を進めてきた。同社オリジナルの製法特許から生まれた活性型牡蠣肉エキスが、その抗酸化作用により2型糖尿病、高コレステロール血症、ストレス、疲労、うつなど数多くの有効症例を動物、ヒト臨床で確認しているが、この新規物質の解明でさらに新たなエビデンスが今後、明らかになることは間違いない。

さて論文投稿された北海道医誌と海外学術誌には、それぞれ正式なタイトルを載せている。『マガキ(Crassostrea gigas)より発見された新規抗酸化物質の精製、同定、化学合成と抗酸化能に関する研究』、『Isolation and Characterization of a Phenolic Antioxidant from the Pacific Oyster』となる。

論文では、実験系として抗酸化活性物質の精製を、カキ抽出液の有機溶媒分液操作、抗酸化活性試験、分取クロマトグラフィー、HPLCで明らかにして、次に抗酸化物質の同定、化学合成へと論を進める。

次に、抗酸化能をORAC(Oxygen Radical Absorbance Capacity)値の測定で突き止めて行く。

こうした論術から検証を行い次のような考察を導き出している。

見出した抗酸化物質、3,5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcoholは過去に、渇藻類から単離されているが、生物学的活性は記述されていない。したがってこの報告が最初の発見となった。

本研究で同定された抗酸化物質は、ラジカル消去能を観察するORACやAAPHを用いた細胞実験で高い抗酸化活性を示した。これは、当該物質がラジカル捕捉剤として抗酸化能を発揮する可能性を強く示唆している。

またこの物質は両親媒性であるが、数少ない水溶性抗酸化剤の一つとして広く用いられる(+)-アスコルビン酸と比較してORAC値が3倍大きいことから、抗酸化剤としてその期待は高い。また、用量依存的にLDLの酸化を抑制したことは、この物質がLDLの酸化防止を通じて抗動脈硬化作用を発揮する可能性も示唆された。

さらに、当該抗酸化物質が肝臓由来の株化細胞であるC3A細胞の酸化を有意に抑制したことは、少なくても肝細胞内においても抗酸化活性を発揮できることが示唆された。

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