Doctor’s LABOトピックス

夏の「美白」対策最前線

〝肌見せ〝の季節の需要は「夏に負けない透明肌」

紫外線対策、日焼け止め商材は「年中無休」に
2月から百貨店店頭に

ドクターコスメに需要高
美容外科医が共同開発

安定型ハイドロキノンのマイクロカプセル処方も
浸透をコントロールし、メラニンを時間差攻撃

新市場は20代男性の「美白ニーズ」

「肌見せ」の季節だ。今年の夏は、肌見せとあわせてシースルーなど身体のラインが透けるファッションが若い女性を中心に話題を呼んでいる。例年、女性にとって夏の悩みといえば、「ボディライン」「日焼け」「臭い」などが挙げられるが、今年は特に「美白対策」を気にする女性が多い。少し前になるが、『CanCam』7月号では「ぷに子の大逆襲」というタイトルでふっくらした女性の魅力を伝える特集を掲載。これによると、155cmの女性の場合、46kgは「痩せすぎ」で、52~64kgが「ぷに子」、68kg以上は「太っている」という結果になった。
バラエティショップ等で大人気のネイルオイルやリップトリートメント、ボディマッサージ等を手掛けるメーカーの広報担当者によると、「今年は百貨店もマッサージジェル、スリミングジェルというよりは日焼け止め関連の商品を積極的に置いてくれるように感じる」と話す。
女性誌でも健康的なボディが認められてきた中で、女性達の注目は「紫外線による夏老けを防ぐ」「夏に負けない透明肌つくり」「白もち肌で男心をゲット!」など夏の紫外線対策に注目が集まっているようだ。

紫外線の防止指標が4段階に

紫外線対策で真っ先に浮かぶのは日焼け止め化粧品だろう。2013年1月から、日本化粧品工業連合会が「紫外線防止効果の測定に関する基準と製品の機能表示」の一部を変更した。
今までUVA(長波長紫外線)への防止効果を表す「PA」については「PA+」から「PA+++」までの3段階であったが、今回の変更を受けて「PA++++」という4段階になった。UVAは波長が長く、真皮にまで到達するため長時間浴びることでコラーゲンを変性させ、長期的にしみ・しわといった肌への悪影響がいわれている。

日焼け止め化粧品は2月から店頭に

美白、しみ・しわ対策といった売り文句が増える中で、最近の日焼け止めクリームの販売市場に変化はあるのだろうか。
2007年から「サヴァンナ」シリーズという紫外線対策商品を手掛けるマキシミリアによると、「10年ほど前は5,6月からしか日焼け止めはなかったが、今では2月くらいから百貨店やバラエティショップも売り場を作るようになった」と需要が高まっている様子を話す。
「アンチエイジング、美肌対策として日焼け止めは基本。さらに当社では肌トラブルにも考慮しノンケミカル製品を中心として安全性の部分も考慮して開発している」と話す。  
化粧品業界の原価は数%程度と言われる中で、同社は2桁の原価率で、よい商品を安い価格で提供する。日焼け止め化粧品というニッチな業界に特化しているサヴァンナブランド。中小はほぼ参入がないこの業界で、大手に負けないクオリティで差別化を図る。

また、ドイツで2番目のオーガニックコスメブランド「ラヴェーラ」シリーズを国内販売するナチュラルレーベンでは、オーガニックブランドでは珍しく、日焼け止め(サンブロック)商品もシリーズ化している。
ヨーロッパはアジアほど美白に興味がないと言われているが、最近では健康志向の人も増えており、紫外線対策も少しずつ一般的になりつつある。
同社商品の場合、通常のオーガニック日焼け止めクリームとあわせて、ザクロ種子油やホホバ油などの抗酸化力のある成分を含んだアンチエイジング用の日焼け止めクリームも作っている。

スキンケア開発は美容外科が開発する時代に

ドクターズコスメにおける美白関連商品の動向はどうか。
国際美容外科学会の副会長にも就任経験のあるセブンベルクリニック院長の渡部純至先生が監修する、化粧品・医療機器開発メーカーのドクターズ・キッツに話を伺った。
約5年ほど前からUVカットパウダーやBBクリームを業界に先駆けて商品化している同社。UVカットパウダーについてはこの5年ですでに50万個以上を販売しているという。
さらに同社では今年から美白・エイジングケア商品として新しく超高濃度ビタミンC誘導体のオールインワン美容液を発売。アスコルビン酸に超臨界技術でグリセリンを付与し、30%という圧倒的な高濃度を実現した。 
クリニックにおけるイオン導入やエレクトロポレーション等とも相性がよく、効率よく肌まで美容成分を浸透することができると話す。
「美白、日焼け止め業界も値崩れが始まり競合も増えている。このような状況でもよい商品を作り続けるには、やはりベースにすべきは医療だということ。商品開発においても、ドクターや経験豊富な婦長が商品企画をした案をもとに、開発スタッフが何度も研究を行う。さらに商品特性等を鑑みた上でいくつかある提携工場の中から最適なところに製造を依頼している」と話す。
クリニックとあわせて、エステサロンも運営する同社。現場での貴重な経験をもとに外科医らと共同研究してスキンケアシステムを開発している。

安定型ハイドロキノンでクリニックブランド好調

また、約10年前からハイドロキノンの効果に注目しドクターズコスメの開発を行ってきたのは、ハイサイド・コーポレーションだ。同社で人気のドクターズコスメ「アンプルール」は、美容皮膚科ウォブクリニック中目黒の総院長の高瀬聡子先生が開発ディレクターだ。
2001年の薬事法改正に伴い、ハイドロキノンが化粧品でも使用可能となったことをきっかけに開発をスタート。美白を目的とした「アンプルール ラグジュアリーホワイトシリーズ」がこの時に生まれる。
ハイドロキノンは冷蔵保存が必要だったりと安定性と持続性の部分に難点があったが、独自の「新安定型ハイドロキノン」を使うことで処方箋なしでも販売できる化粧品として発売。この注目の「新安定型ハイドロキノン」とは、従来のハイドロキノンを安定化させた分子錯体結晶で、酸化や、湿度・熱への耐性を持つ画期的な成分である。
なお同社では、化粧品としては高濃度配合のため、夜のみの利用に限定している。さらに2011年には新安定型ハイドロキノンのマイクロカプセル処方に成功。浸透パワーやスピードをコントロールすることで、肌刺激を抑えるとともに、時間差でメラニンにアプローチできるようになった。

20代男性は「美白」願望が顕著に、新市場に期待感

紫外線対策は「年中無休」となり、より高濃度・高品質の美白美容液を欲する女性たち。終わりなき紫外線との戦いはまだまだ続く、そんな中で、さらに新たなマーケットとして期待されるのが、男性の美白市場だ。
マーケティング会社の調査結果によると男性の4割もが「美白になりたい」と回答している。特に20代は顕著で、美白を希望するその数はなんと6割に。
今後は、男性向けの美白マーケットにも注目したい。

◎本稿並びに、紹介製品にご関心のある読者は本紙JHM編集部まで

↑ページの先頭へ戻る