Doctor’s LABOトピックス

製品のテストマーケティング呼びかけ

ロシア連邦機関のスペシャリスト招いたセミナーで

医薬品、医療機器に限らず美容機器なども市場進出を支援へ

先ごろ都内で「ロシアの医薬品・医療機器の市場性と医療制度・商習慣について」をテーマにしたエグゼクティブセミナーが開催された。
企画した主宰者の一人、グラドコフ・アレクセイ氏は冒頭のあいさつで本セミナーの趣旨を語った。それによると「ロシア連邦機関のスペシャリストがロシア市場の規制やルール、市場性を講演しながら、日本の医薬品、医療機器をいかにロシア市場に輸出あるいは民間レベルの投資を推進していくか、を投げかける機会としたい」として、大手だけでなくフットワークの軽い中小企業こそビジネスチャンスを広げてほしいと強調した。

アメリカや中国からの輸入や投資が始まっているにも関わらず、技術力とサービスにロシア国内でも期待が高い日本の製品は圧倒的に少ない現状を踏まえ、同氏がもつビジネスルート、連邦機関とのパイプ、人脈を生かした「製品のテストマーケティング」を呼び掛けた。
またアレクセイ氏はセミナーの主題となる医薬品、医療機器に限らず、美容医療に関わる技術、製品の日露間での提携やロシア市場への輸出も視野に入れていることを、本紙の単独取材で明らかにしている。
主宰者に続き、登壇したロシア総領事リャボフ・オレグ氏からは「冷え込んでいた日露関係も安部首相の訪露で雪解けに向かっている。両国の関係強化とりわけ経済協力はますます重要になってきた」と、このセミナーに期待を寄せた。
続いてロシア厚生省の元FDA医薬品審査副部長・マリン・アレキサンダー氏からロシアの医薬品の取り締まりや規制などについて講演が行われた。まず新薬市場における成長率はめざましく11%と先進各国(日本0%、アメリカ3%)を大きく上回り、新薬の承認や新たな医薬品製造工場の設立などが相次いでいることが報告された。こうしたことから、日本からの医薬品輸出では充分に可能性があるとして、関心をもつ企業にはロシア進出のためのサポートを約束した。
医薬品の規制については、二人目の演者であるディガイ・ミハエル氏が薬事顧問(ロシア厚生省・医薬品国家登録部門)の立場から、市場参入における法的ルールや手続きを解説した。
「ロシア国産か海外品かによって、あるいは新薬やジェネリックかによって申請のプロセスや要求事項は違う。製品のエビデンスに関わる治験はロシア国内に限る」と、輸出に関わる障壁も認めつつも、やり方さえ間違わなければ市場参入はできると述べた。
ミハエル氏はまた、申請の機関となる連邦国民保健省で許可されないケースや不許可になった場合の対処法などについても、受講者からの質問に対する回答のかたちで具体事例を指し示した。
講演の最後を締めくくったのはウバハルシム・ドミトリー氏で、「医療機器の規制と市場性」について話をした。その中で、ロシアでは医薬品と違い医療機器はその法律の枠組みが整備されておらず、申請・手続きも2か所の関係省庁に及ぶことから、時間もかかりコストも大きい。しかし、2014年をメドに窓口の一本化を進め、手続きも簡略化されることから、これからのロシアの医療機器マーケットは日本としても十分にビジネスチャンスはあると指摘した。
総じてセミナーで明らかになったことは、ロシアの市場環境がまだまだ日本に比べ整備されていないということだろう。言い換えれば「スキマ市場」は多い。
それはまた、医薬品、医療機器に限らず数多くのカテゴリーで当てはまるはずで、先述のとおり美容機器や場合によっては化粧品、サプリメントなどにも日本からのロシア市場参入の可能性は残されている。
興味ある企業は一度チャレンジしてみてはどうだろう。会社の規模は問題ではない。意欲ある企業精神さえあれば、日本の技術力、商品力は必ずロシアのユーザーをつかめるはずだ。
本稿に関心のある読者は、本紙担当okano@e-jhm.jpまでメールにてご連絡ください。

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