Doctor’s LABOトピックス

世界地図で3億7100万人 増加止まない「糖尿病人口」

9位の日本
糖尿病による患者一人当たりの経済損失32万円

糖尿病かあるいはその可能性が否定できない「予備軍」は、国民の27%にものぼることが厚労省の「国民健康・栄養調査報告」(2011年統計)で明らかになっている。糖尿病患者数は推定890万人(「厚労省推定」と年々増加の一途を辿り、現在も増加傾向は進行中だ。「糖尿病人口」の世界地図をみても3億人を超え、2030年には5億人をはるかに突破するとした統計もあり、もはや「糖尿病対策」は地球規模で取り組まざるを得ない課題といえよう。
ランキング9位と不名誉な順位をもらう日本だが、患者一人あたりの「糖尿病」による経済損失はおよそ32万円に相当するといわれ、国民医療費およそ37兆4000億円(平成21年度)に占める糖尿病への医療費は約1兆2000億円と、増え続ける患者数と正比例するかたちで、その増加傾向は止まらない。


深刻化する糖尿病を考える際、患者890万人という統計値だけを参考にはできない。厚労省による「2011年国民健康・栄養調査報告」(以下調査報告)では、糖尿病の可能性を否定できない、いわゆる「予備軍」を含めると4人にひとり、つまり3000万人もの日本人が「糖尿病」あるいは将来、糖尿病にかかると推察できる。
「糖尿病人口」の世界地図をみても3億人を超え、2030年には5億人をはるかに突破するとした統計(Diabetes Atlas 2012 update)もあり、もはや「糖尿病対策」は地球規模で取り組まざるを得ない課題といえよう。
「糖尿病大国」上位3傑は、中国(9229億人)、インド(6301億人)、アメリカ(2441億人)の順で、日本も9位とはいえ不名誉なランキングとなる。中国、インドでは2030年に1億人を上回ることが予測され、アメリカそして日本でも増加は止められない。1000万人の「糖尿病大国」に日本は仲間入りするとさえいわれている。
先述の調査報告では、糖尿病が強く疑われる人(無作為抽出で全国8247人対象)のうち、「インスリン注射か血糖降下薬での治療」をする回答者は男性54.4%、女性46.2%であるものの、「治療を受けていない」人の割合も高い。にも関わらず国民医療費37兆4202億円に占める糖尿病への医療費負担は、1兆2149億円にもなる。
前年度比295億円の増加で、やがて治療にはいる「予備軍」を考えれば、その増加傾向は止まらない。
統計Diabetes Atlas 2012 updateによれば、日本の患者一人あたりの「糖尿病」による経済損失は3266ドル、日本円にしておよそ32万円に相当する試算している。
糖尿病患者にとってやっかいなのは、何もインスリン・コントロールで血糖値を管理する手間だけではない。糖尿病から発症する合併症の方が怖い。
日本透析医学会が発表する統計調査(2010年)によれば、国内の透析患者29万7126人のうち、糖尿病腎症が原疾患の患者は10万2788人で、慢性糸球体腎炎に次ぐ第2位だった。過去、この1位と2位の差は年々縮まっており、一方で新たに透析を始める患者の原疾患で糖尿病腎症が最も多く5割に迫っているという。すでに、両者の順位は逆転しているとみていい。
いずれにしても糖尿病も含めた「生活習慣病」の対策は、まずは日頃のライフスタイルを見直すこと。とりわけ「運動」「休養」「栄養改善」そして「睡眠」に心がけることはいうまでもない。転ばぬ先の杖!。インスリン治療を受けないためにも、節度ある食生活と何よりも不足しがちな微量栄養素の補充が大切である。

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