美容アンチエイジング業界コラム

中間医師、幹細胞治療の行方を憂う

行き過ぎた規制強化(ガイドライン)は、臨床成果の勢いを止める

デマゴーグ流す報道側の姿勢に猛省うながしたい

研究者、臨床家の間の疑心暗鬼こそ、再生医療発展にブレーキかかる

それぞれの専門性生かし、多くの臨床家が幹細胞治療に関わることを望む

1万症例やるも適用見極めないと治療効果は生まれず

「夢の万能療法」は間違い
真摯に患者と向き合い、可能な治験をとることが大切

 インタビュー記事を掲載するにあたり、いま幹細胞治療を取り巻く状況を整理してみたい。再生医療新法における「細胞加工物」としての幹細胞治療の規制である。

再生医療新法に関わる2法「安全性確保法案」と「改正薬事法」は、周知のとおり昨年11月20日の参議院本会議で可決成立し、同27日に公布された。これによりiPS細胞や体性幹細胞などの細胞加工物を用いた再生医療を実施する医療機関に対しては、ガイドラインに準じた治療をしているかどうかを第三者機関が審査し、厚労相に再生医療提供計画書の提出を義務付ける。
一方、その再生医療や細胞治療をリスクに応じて第1種、第2種、第3種と分類し、レベルに相応した審査と実施手続きを設けることもほぼ固まった。しかし運用段階ではまだ紆余曲折の様相を呈していることは否めない。
認定再生医療委員会など第三者機関の委員の選定や、想定しているリスクに応じた分類の変更などである。とりわけ危惧されているのが、分類いかんによっては治療の危険性が過大評価されかねず、実施する医療機関への負担が過度に増えることだ。
現在検討されているリスク分類の枠組みでは、中程度に自己脂肪幹細胞を用いた豊胸術、再建術(脂肪幹細胞による腎疾患治療は高リスクに分類)が位置づけられているが、これとてもまだ流動的だ。
さらに、「リスク要因」の判断基準には、細胞の調整過程、新規性、純度、均一性、恒常性、安全性の項目があり、また、治療法でも投与部位、投与経路など分類をするうえでの多くの指標が横たわっており、現在想定される枠組みが大きく崩れる可能性も否定できない。
新法では、安全性に関わる規制が強化されることは間違いないが、幹細胞を培養しない美容アンチエイジング治療は緩やかな基準となる公算が大きい。そしてクリニックには届出制のみしか求められない可能性が高い。

本紙 単刀直入にお伺いします。先生が先駆けとなってやられてきた幹細胞治療では〝報道被害〝ともいえる洗礼を浴びせられましたね。
中間 御紙もジャーナリズムの看板を背負っておられるからにはご存じのように、報道は時として、計り知れない誤解と報道被害を与えます。深刻なのは当事者に対する名誉、人権侵害に留まらず国民にまでその虚偽が流布される。
医師としての責任のもと可能性ある治療法を追求することは自然の流れではないでしょうか。それが臨床医として、長年取り組んできている幹細胞治療で、病いに苦しんでいる患者さんへの一助となればと治験と並行しながら日常の診療を続けています。多額の治療費をとっているかのようなデマゴーグを大手新聞社が率先して流していることは残念でなりません。
全く事実無根であることをここでお伝えします。

(文中抜粋、全文はJAASアカデミーに掲載中)

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