Doctor’s LABOトピックス

需要は回復基調に転じる

本紙第17回DRアンケート「2013年自費診療の需要を占う」から明らかに

昨年の需要は、前年比「需要増」「現状維持」組(84%)が、マイナス回答(15%)を上回る

2013年の需要予測は
引き続きフィラーなど「痛みの少ない施術」

一方で重瞼術、眼瞼下垂に回答者も多い
術者のスキルアップへの意欲、そして適用年齢が背景に

「美容医療の技術トレーニング」望む回答者が断トツ(17%)

他方「院内物販」「メディカルエステの充実」求める医師、歯科医も目立つ

2012年の自費診療部門の伸びは?(医科・歯科 共通)

弊紙JHM「健康と医療」では、美容医療、アンチエイジング診療さらには歯科インプラント、美容歯科など自由診療を行うクリニックに対して、「2013年自費診療の需要を占う」として、アンケートを実施した。期間は昨年2012年12月25日から年明け2013年1月18日までの1か月(正月休暇を除けば実質3週間)で、JAAS、JSCAM会員などに対してはメールマガジン、FAX、郵送で、その他の美容アンチエイジングクリニックおよび歯科クリニックには本紙107号の発送にあわせるかたちで調査用紙を郵送し回答を求めた。17回目を数えるこのDRアンケートは、前回、前々回実施した調査に比べ、回答率が上回り5%を超えた。デフレ景気の影響からくる消費低迷や、震災による社会全体の自粛ムード一色だったころの状況とは明らかに異なり、美容アンチエイジングに対する需要も回復基調に転じてきたと本紙ではみる。回答者の診療科目は美容整形、形成、皮膚科、内科、外科、整形外科、婦人科、精神科、歯科…と幅広い。形成外科、美容外科、美容皮膚科などいわゆる美容医療を診療範囲とするクリニックからの回答が46%を占め、次に皮膚科(16%)、歯科(16%)からの回答が続いた。そして昨年の自費診療の需要動向では、35%が前年比アップ、49%が前年比と変わらないと答え、前年比マイナス回答の15%を、需要増と現状維持組が大きく上回った。一概にはいえないが、景気の動向に左右されることが多い自費診療の需要が、ここにきて持ち直す傾向にあるとみて間違いない。一方、昨年堅調だった治療は?との問いで上位を占めたのは「フィラー・BOTOX」「美容機器による治療」「プラセンタ注射」「「ビタミンC点滴」など低侵襲の施術だった。いわゆる糸を使ったフェイスリフトを治療に選択する回答者も多い。背景には患者から「痛みの少ない美容整形」を求めるニーズがあるようだ。それでは今年の需要予測というと、引き続き低侵襲治療と答える比率は高いものの、重瞼や眼瞼下垂など切開系の手術へ回答するところも目立った。治療効果が高く術後の永続性を求める美容形成本来の需要が見直されてきたといっていい。患者側だけでなく、術者の医師サイドの技術に対する意識変革もあるのかもしれない。需要を掘り起こす、喚起するのは治療する側のドクターであるはずで、執刀者のスキルさえあれば、満足度の高い切開系を勧めることは不思議ではない。また切開系の眼瞼形成を望む、あるいは勧られる患者層が中高年であることも、もう一つ需要増を期待する理由でもある。なお回答者には、特典のDVD(希望のライブ収録1セット)が2月末をメドに郵送される。

質問項目1では「専門診療」を聞いた。回答をいただいたドクターの専門科目で最も多かったのは美容皮膚科、美容外科、形成外科の46%で、以下、皮膚科(16%)、皮膚科(16%)、歯科16%)と上位を占める。一般内科、アンチエイジング内科からもそれぞれ1割ほどの回答を得た。
Q2「2012年の自費診療部門の伸びは?」の回答では、35%が前年比アップ、49%が前年比と変わらないと答え、前年比マイナス回答の15%を、需要増と現状維持組が大きく上回った。一概にはいえないが、景気の動向に左右されることが多い自費診療の需要が、ここにきて持ち直す傾向にあるとみて間違いない。

そしてQ3、Q4がアンケートの核心となる。
質問3「2012年の自費診療で堅調だった治療?」(複数回答)に対する回答で、上位を占めたのは「フィラー」(鼻形成、フェイスリフトでの施術合計で15%)「BOTOX」(8%)「レーザー、フォト、高周波など美容機器による治療」(9%)「プラセンタ注射」(10%)「ビタミンC点滴」(5%)など低侵襲の施術だ。大方の予想の範囲といっていい。いわゆる糸を使ったフェイスリフトを治療に選択する回答者も9%と高い。背景には患者から「痛みの少ない美容整形」を求めるニーズがあるようだ。
歯科クリニックの上位3傑は「インプラント」(16%)、「ホワイトニング」(14%)、「義歯治療」(13%)となったが、口腔周辺へのヒアルロン酸注入、プラセンタ注射、サプリメントなど栄養療法、ビタミンC点滴がそれぞれ8%、11%、9%、7%の回答を得た。回答率5%だが、メディカルエステと答えた歯科医もいた。Q5「クニックがこれから望むあるいは改善したいこと?」の回答傾向とも相関するが、厳しい歯科診療の経営を反映してか「美容医療のトレーニング」「専門外の診療メニューを増やしたい」「院内物販やメディカルエステの充実」と答える歯科医が少なくなかった。

2012年の自費診療部門で堅調だった治療は?(複数回答可)(医科)

先生が望む、あるいは改善したいこと?(複数回答)

設問4「今年の需要予測」では、引き続き低侵襲治療と答える比率は高いものの、重瞼や眼瞼下垂など切開系の手術へ回答するところも目立った。治療効果が高く術後の永続性を求める美容形成本来の需要が見直されてきたといっていい。患者側だけでなく、術者の医師サイドの技術に対する意識変革もあるのかもしれない。需要を掘り起こす、喚起するのは治療する側のドクターであるはずで、執刀者のスキルさえあれば、満足度の高い切開系を勧めることは不思議ではない。また切開系の眼瞼形成を望む、あるいは勧られる患者層が中高年であることも、もう一つ需要増を期待する理由でもある。
先述したとおり、最後の質問5で「クリニックあるいは先生が望む、または改善したいことは?」を投げかけた。
DRアンケートで何度かこの種の質問をし選択肢にも入れた項目で、今回も断トツの回答を得たのが「美容医療の技術トレーニングをしたい」(17%)だ。また回答率上位には「最新の治療機器の情報がほしい」(9%)、「「医院の経営改善」(8%)、「メディカルエステの充実」(7%)が並び、「ネット活用法」「専門外でもできる美容医療を勉強したい」「アンチエイジング内科の充実」「歯科診療の新たなメニューをつくりたい」「院内物販の充実」が共に回答率6%でつづく。
学ぶ機会の少ない美容形成のスキルアップは、美容医療に携わる、あるいは他科保険診療から美容部門を検討する多くの医師が望むところ。技術の講習にJAAS日本アンチエイジング外科学会に期待する声が日増しに高くなっていることが、このアンケート結果でも裏づけられたといえよう。
一方で、クニックの経営効率を考えると、最新の美容機器の導入や院内物販、メディカルエステの充実を考えていかざるを得ない「現実派」も少なくない。また、医院の経営改善、ネット活用法など回答率こそ低いものの、ほとんどのところでこの問題は避けては通れない。調査回答票がクリニックの記名が伴う(個人情報、施設情報の守秘義務を守るため本紙では外部流出は一切しないことはいうまでもない)ため、あえて回答しなかったところも多いと、本紙では見る。
言い尽くした感はあるが、美容医療は、低侵襲と侵襲術の2極化がますます顕著になっていく。「敷居が低くなる美容医療」によって需要のすそ野は広がるはずで、それが本来の手術を伴う美容形成術の患者をも必ず増やしていくはずだ。
いずれにしても、ここ数年続いた、震災そして景気低迷の余波から脱却して、再びこの自費診療マーケットが活気づくことを本紙は確信している。アンケート結果にその兆しがみえていることは間違いない。
編集部ではこれらの結果を踏まえ、今年も本紙「健康と医療」の紙面充実を図り、一方で事務局を務めるJAAS日本アンチエイジング外科学会のライブ講習や美容・歯科解剖学実習等の開催を通じて、美容医療、アンチエイジング診療の活気ある市場形成に少しでも役立つ良質な情報を提供していきたい。
最後に、アンケートに貴重なお答えを頂いた医科、歯科の先生方に謹んでお礼を述べたい。

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