Doctor’s LABOトピックス

腋臭・多汗症治療装置「ミラドライ」美容クリニックでブレイク

アメリカ発日本へ上陸
治療効果高く、導入クリニックで集患・増患の恩恵もたらす

ボトックス、外科治療など
従来の治療法は一長一短

 切開せずにわきが・多汗症の治療ができるマイクロ波装置「miraDry」(ミラドライ) をご存じの読者も少なくないはずだ。この画期的ともいえる腋下汗腺専用の治療機を開発したのは、米カリフォルニア州シリコンバレーに拠点を置くベンチャー企業、Miramar Labs社で、多汗症に悩む数百万人ともいわれる潜在患者(ある統計では18~49歳の5人にひとりが多汗症に悩んでいる)を抱えるアメリカの医療事情が開発のきっかけになったことはいうまでもない。皮膚切開なしで治療でき、瘢痕が残らず、外科治療に負けず劣らない治療効果が期待でき、しかも術後すぐに日常生活に復帰できるというダウンタイムの短さから、アメリカではこの治療法を採用するクリニックが多い。そして患者の治療効果に対する満足度は高い。およそ3年前、日本にも紹介され昨年、一気にブレイク、美容クリニックを中心に導入が進んだ。取扱いのチャールズ・ラボラトリーズによれば「現在60台ほどがクリニックで稼働しており、今後さらに普及は加速度的に進む」と意気込む。なぜなら、治療効果に対するクリニックからの評価が高く、何よりも「ミラドライによる腋臭・多汗症」治療メニューを投げかけることで集患・増患をもたらしているところが少なくないからだ。
これからの美容医療にあって、腋臭・多汗症治療といえば「ミラドライ」という時代がすぐそこに来ているといってもいい。

 東洋人に比べ、アメリカなど欧米人に腋臭・多汗症は多いといわれる。アメリカでは、肥満やにきびなどの体形や容姿以上に腋臭・多汗症が「恥ずかしい」と答えた統計データもあるほどだ。
 では日本ではどうだろう。
「現代社会がもたらす過度なストレス付加、食生活の変化さらには自律神経の乱れなどによって腋臭・多汗症に悩む人は増えている」と専門家は指摘する。
 2012年に皮膚科学会で多汗症の診断と治療に関するガイドラインが策定され、重度の場合は保険適用に分類されたことは何よりの証左だろう。(ガイドラインでは腋窩多汗症は自律神経の失調により、体温調節において必要以上の汗を出す。その保険適用の治療法の一つにボトックス注射を挙げている)
腋の臭いは単なる〝気になる症状〝ではなく、れっきとした疾患として認識されるまでになった。
 こうした中で、その治療法には代表的なもので、症状によっては保険適用が受けられるボトックスや制汗剤、吸引法や剪除法などがあるが、それぞれ一長一短があることは否めない。ボトックスは一時的には効果を認めるが持続性は3~6か月と短い。制汗剤に至っては毎日使わなければならず、その治療効果も乏しい。
 吸引法や剪除法は、侵襲性が高く、術後のダウンタイムも長い。とくに剪除法の術式では医師本人が直視下でアポクリン腺を摘除することや、切開部の縫合の良し悪しで瘢痕が残るという、ある意味「難度C」のオペテクニックを要する。医師のスキルが求められ、「医療訴訟リスク」を懸念して執刀する医師はそう多くないはずだ。
 こうした治療法に比べ、ミラドライは治療効果、持続性に優れ、侵襲性もなく、最小限のダウンタイムで行える治療術といえよう。

 アメリカFDAの承認(510(K)No.K103014)も取得する医療機器で、5800MHzの波長域をもつマイクロ波で術野に照射していく。
 マイクロ波によって、皮下組織にあるアポクリン腺とエクリン腺を集中的に加熱して、汗腺を焼灼する。それにより汗の分泌が抑えられるという。施術の流れはシンプルで術野をマーキングシートでマーキング(楕円径)し、局麻注射そしてミラドライを照射していくもの。この際、皮膚表面への熱伝動を防ぐためハイドロセラミックでの冷却を続け汗腺ゾーンでの加熱帯を形成するように装置設計されている。また照射時に水溶性のジェルを塗布することで、より照射面の密着度を高めている。
 治療の範囲での差はあるものの、片側20分ほどの照射時間で済む。1回の照射で70~80%以上の治療効果があるが、さらに3か月をおいて2回目の治療を勧めるクリニックもあるという。

 因みに同装置では5段階のエネルギーレベル(照射量と深達度)が設定できるが、照射時間によってエネルギーレベルは設定される。
 開発元のMiramar Labs社では、治療前、治療10日後さらには180日経過後の汗腺細胞の病理組織を検証しているが、治療直後から徐々に汗腺の消失を認め、180日目には完全に汗腺が消失したことを確認している。
 またカナダでのミラドライを使った治療の有効性試験では、30日目に90%、その後3か月、6か月と経過する毎に有効率があがり、12か月後には100%と高い効果を認めている。
 「装置を購入してもらい専用チップのイニシャルコストを計算に入れても、50人の治療で十分に減価償却は可能です」と同社では話す。
 もちろんこの装置の優位性を考えれば、治療に訪れる患者は50人どころではない。投資対効果を考えれば、いますぐにでも導入を検討した方がいいかもしれない。

◎関心のあるドクターは本紙JHMに連絡頂くか、ミラドライ公式サイトにアクセスして頂きたい。

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