美容アンチエイジング業界コラム

エステ市場3491億円(2012年矢野経済調査)

客単価、来店客数下げ止まり

相次ぐ法令違反や施術トラブルで信用落とす

光明は異業種からの参入
信頼回復のカギ握る「メディカルエステ」

2012年度のエステティックサロン市場規模(専業エステ)が、矢野経済研究所から発表された。前年度比99.9%の3491億円(事業者売上ベース見込値)で、大手サロンを中心に客単価、来店客数の下げ止まりが顕著だという。一方で、エステ脱毛に特化した低価格型のサロンが事業の拡大をはかり、かろうじて市場は横ばいを保ったかたちだ。一方、かつてエステ専業社が市場を形成してきたマーケットに、市場の伸び悩みからエステ業界に出店攻勢をかける化粧品業界や調剤薬局、スポーツ、リラクゼーション施設事業者など異業種からの参入が相次ぐ。さらには淘汰の危機に直面する個人経営の理美容サロンも、エステ事業者では叶わない有資格の手技と組み合わせたエステの施術を取り入れ、市場に攻め込む。もちろん美容クリニックや歯科クリニックが導入する「メディカルエステ」も見逃せない。医療によるエステ、医療と提携するサロンの拡大は、エステ業界の社会的信用を高めることに他ならない。いずれにしても今後、エステ市場拡大のカギを握るのは、ひとえにこうした新たな参入組の事業展開にかかっているといっていい。

矢野経済の調査は2012年10月~12月に、専業サロンとサロン関連商材取扱い企業対象に行われた。ここでいうサロンは、エステティシャンが手技、化粧品、美容機器を使って施術する業態を指し、その市場規模には、美顔、痩身・ボディケア、脱毛に加え、サロン内での物販やその他のサービスを含む。
統計によれば、2012年度のエステティックサロン市場規模(専業エステ)は、前年度比99.9%の3491億円(事業者売上ベース見込値)で、大手サロンを中心に客単価、来店客数の下げ止まりが顕著だという。2013年以降も市場は横ばい傾向を示すとして、今後市場の拡大には、ユーザーからの信頼をさらに高めることが求められるとしている。
エステ業界では相次ぐ景表法、特定商取引法の違反や、施術への苦情、トラブルなどで、消費者からのイメージは良いとは決していえない。どの業界でも同じだが、認証制度の充実を図るなど自助努力が必要といえよう。
矢野経済では、この市場規模は、一方でエステ脱毛に特化した低価格型のサロンが事業の拡大をはかり、かろうじて市場を横ばい傾向にしたと分析する。因みに、経済産業省による2010年のエステ業界の実態調査によると、その規模は3536億円(店舗数8,842店)で、前年2009年を下回っており、矢野経済と同省との統計指標に違いはあるものの、統計値をみる限りは年々、エステ市場の衰退は否めない。
こうしたなか、かつてエステ専業社が市場を形成してきたマーケットに、市場の伸び悩みからエステ業界に出店攻勢をかける業態が少なくない。1兆4000億円へと市場縮小が顕著な化粧品業界もそのひとつで、エステサロン専業店とのユーザー獲得は今後さらに激化する見込みだ。
また調剤薬局、スポーツ、リラクゼーション施設事業者など異業種からの参入も相次ぐ。事業者数11万6000軒、1兆1000億円の市場規模を有する「マンモス業態」理美容業界からの参入も活発だ。タカラベルモント、阪南理美容など大手系が市場シェアを独占する反面、総事業者の9割を占める個人理美容サロンは、淘汰の危機に直面する中、エステ事業者では叶わない有資格の手技と組み合わせたエステの施術を取り入れ、新規市場に活路を見出してきた。
もちろん美容クリニックや歯科クリニックが導入する「メディカルエステ」も見逃せない。医療によるエステ、医療と提携するサロンの拡大は、エステ業界の社会的信用を高めることに他ならない。
いずれにしても今後、エステ市場拡大のカギを握るのは、ひとえにこうした新たな参入組の事業展開にかかっているといっていい。
○本稿中の調査レポートは矢野経済研究所まで

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